更新 2023/06/10
ホームページの制作(Web制作)は、専門職がチームを組んで行います。見ず知らずの人たちが一緒に仕事をしますので、チームワークが順調に推移するかどうかが、ホームページの出来に大きくかかわります。その成功のために、私は2ステップがある事を実感しました。
第一ステップが「Webサイト制作プロセスフロー表」の説明を、最初にお客様(ホームページ制作を依頼される会社様)に行うようにした事です。これで「Web制作チームが成功する時」の確率が格段に上がりました。
第二ステップはさらに深く「Web制作チームが成功する」ために、今日はその先「お客様が握っている成功への切り札」とは何なのかをお話します。
Web制作チームが成功するために、「Webサイト制作プロセスフロー表」をチーム全員で理解する
第一ステップの「Webサイト制作プロセスフロー表」。まず第一ステップの概略表から復習です。
チーム全員とは誰が含まれるのか?
「チーム全員」とは誰なのか?この定義が重要なわりに、わかりにくいので、第一ステップを追加説明します。
Web制作時のチーム全員とは、下表の1から7の作業に関わる全員です。
前準備(お客様側) フロー表 1、2、3、4 |
職責名:1と2 アートディレクター、3 UXデザイナー、4 Webディレクター。 通常この仕事は経営者や管理職、広告宣伝部の社員さんが担う事が多い |
---|---|
Web制作(外注先) フロー表 5、6 |
職責名:5 Webデザイナー、6 フロントエンドエンジニア。 5は外注が多い。6は社内のエンジニアがいる場合は技術部社員さんが担う事が多い |
後始末(お客様側) フロー表 7 |
職責名:7 Webマーケッター 7は社内の広告・宣伝部社員さんが担う事が多い |
1から7のうち、お客様が外注される職種が「アートディレクター、UXデザイナー、Webデザイナー、フロントエンジニア」です。これらは専門職の名称で、大企業にも存在しない事が多く、だから社内にそういう人がいない場合が多いので外注されるわけです。参考までにアートディレクターとはブランディングから洗い直し、「ビジョン、フェロソフィ、ストーリー」の三拍子そろった企業イメージを制作する、いわば広告代理店のような役割です。
よってこれらの専門職を外注するには膨大な予算がかかりますので、大部分の会社がホームページを新しくする時は、「Webデザイナー」だけか、「Webデザイナーとフロントエンジニア」だけ外注されます。つまりアートディレクターやUXデザイナーは外注せずに、その仕事は自社内で解決されているのです。
それを社内の誰がやっているのか、現状ではこの重要な「アートディレクター、UXデザイナー」の仕事は、社内のIT関連部や広告宣伝部や、その関連管理職か、時には社長自ら、Web制作時の前準備:1から4の作業過程と責務を負われている事が多いです。
また、Webサイト完成後の「後始末(お客様側)」フロー表7のWebマーケティングは、Web制作とはまったく違う専門職のため、社内広告宣伝部などの専任者が、サイトが出来上がった後のプロモーションについて、日程をたててご準備されています。
まとめると「Web制作時のチーム全員とは誰が含まれるのか?」は、委託元の社内と外注先のWeb制作側、両方の、1から7の仕事を担当する全員を指します。
これで「チーム全員とは誰が含まれるのか?」わかったので、ここから今日の本題、第二ステップです。
「チームビルディング」の成功のために、お客様側と外注先の全員に必要なこと
第二ステップの1番目は「チームビルディング」です。チーム成功のために、「御社社員と外注先が連携を組む」事を「チームビルディング」といいます。それでは「チームビルディング」を成功させるために、お客様側と外注先の全員に必要なことを考えていきましょう。
これは前準備:1から4の過程を、別視点から補強する内容となります。
「チームビルディング」を成功させる具体的なプロセス
「ビジョンニング」もしくは「リビジョンニング」
お客様の会社の将来の方向性を決める事が「ビジョンニング」です。「儲けの数字を上げるのがビジョン!」という一時代前の暗黙の了解では、もう社員や世間がついて来ません。
ビジョンがただ社長室に飾ってある額なのか、それとも活きたビジョンを掲げて「将来のあるべき姿」を社員に提示できているのかで、社員のモチベーションにも影響し、顧客の理解や「推し」も深まります。だからホームページのリニューアルや新規制作の機会を捉え、「ビジョンニング」もしくは「リビジョンニング」を立て直しましょう。
と強調するわけは、ビジョンなしの委託は、Web制作側にとって不明確だからです。反して「ビジョン・フェロソフィ・ストーリー」の三拍子揃った材料が届いた案件には、人として見えない気合が入るのはやむ終えません。
リーダーの意思決定
自分の仕事のみならず、部署の運営、他部門間の調整、メンバーの育成や評価など、選択と判断が求められる管理職やリーダーの仕事は多岐に渡りますが、ひごろから全体を俯瞰する視点や、公正な判断での意思決定が、チームビルディングの追い風となります。
コミュニケーション
チームビルディングのためのコミュニケーションには、世代を問わず仕事がやりやすいツール環境も構築し、円滑なコミュニケーションを育む事をおすすめします。柔軟に対応すればチームの活力が目に見えてアップします。
お客様社内で前準備する、成功するチームビルディングのステップとは?
第二ステップの2番目は「チームビルディング」のステップについてです。これはブルース・タックマン(アメリカ心理学者)の「タックマンモデル」で紹介された、チームビルディング4つのステップです。
形成期 | 初対面の時期です。お互いよく知らず、チームの内容も理解していない状態です。 この時期はチームリーダーよりビジョンが明確化され、今後のコミュニケーションの手段や環境が提供されます。 |
---|---|
混乱期 | 次にどのようにその目標を達成するかの解決方法を模索する段階です。この時期は各メンバーの考え方や仕事の進め方につき違いや衝突が起きます。メンバー同士の相互理解のためには、しっかりと議論し、不満や不信感が蓄積しないように時間をかけます。 |
統一期 | ここまで来てやっとチームとしての行動規範や役割分担が形成されます。混乱期をのりこえた経験から、チームの団結が強まりチームが機能していきます。 |
機能期 | 機能期はチームとして機能し、成果を創出する段階です。この時期はチームの成果は上がりますが、そのためには状況より方針や役割分担が見直されて行き、直しや調整が必要になります。よってPDCAを回しチームの成果アップに努めます。 |
表の示す通り、成功するチーム構築には紆余曲折があります。ただ事前にそれを折込済みと共通認識しておけば、「想定内!」と、乗り越えやすいでしょう。
それでも「チームビルディング」がうまくいかない時はどうしたらいいのか?
それでも「チームビルディング」うまくいかない時が実際あります。第二ステップの3番目は「チームビルディング」が機能するための、さらに深堀りした原因を考えてみましょう。その一つに、
チームが単なる寄せ集めのグループになってしまっていないか?
チームが人数が顔をあわせただけのグループになってしまっており、「チームビルディング」の意識を持っていない場合が考えられます。
多くの案件を抱え、平行して別作業を進めているメンバーがほとんどですから、「チームビルディング」の意識がない、単なる寄せ集めの案件ごとグループになってしまっている時が、実際あり得るのです。
グループとチームの違い
グループの場合 |
|
---|---|
チームの場合 |
|
チームはメンバーが「相乗効果により成果を発揮している状態」で、その相乗効果のチームから生み出されるのが「チームビルディング」という定義です。
これを初回の顔あわせで、リーダーより説明をして「チームビルディング」の共通認識とすると、Web制作チームの成功度が高くなるわけです。さらに、
グループをチームに昇華させていくポイントとは?
グループをチームに変化させるための次の3つの要素が、第二ステップの3番目のその2です。
ヒューマン性 | 目的を達成し、成果を上げるための人材が集まっている事 |
---|---|
プロセスを理解している事 | メンバーの役割や、コミュニケーションの方法やツールが決定告知されている |
ベクトルをあわせる事 | ビジョン、目的や方針を共有し、チームメンバー全員が同じ方向を向いている |
以上が第一ステップ「Webサイト制作プロセスフロー表」と、それでも「Web制作チームが必ずし成功しない時」がある場合に、さらに「チームビルディング」を上げていくための対策第二ステップでした。
最後にお客様が握っている「Web制作チーム成功」の切り札とは?
最後にこれは私自身が感じた主観ですが、お客様(クライアント様)が悪気がなく、ホームページ制作の外注先に対して、おかしやすい問題点をまとめます。
それは外注先の、一人一人のチームメンバーに対して、「チームの一員」としての配慮をしているかという点です。例えば、情報共有が外注先のメンバーにも与えられているか?などです。
「同じチームメンバーと言っても、外注先にもいちいち同じ情報共有しなくちゃいけないのか?」この点の微妙な感情です。しかし御社ではコストもかけ、守秘義務契約も結んでいます。それでもなぜか外注先への信頼性に問題がおきがちなのです。
つまり「Web制作チームが必ずしも成功しない時」の多くは、この信頼という問題点でした。
「外注先の情報共有は代表者一人に絞って下さい。他のメンバーには情報共有しないで下さい」などと言ってしまうリアル感情です。たとえイラストレイター一人でも、社内メンバーと同様のビジョン、目的、ベクトルなどの共有がなく、時にはコミュニケーションツールへのアクセス権さえなかったら、どれほど完成度が高い仕事ができるでしょうか?
「材料はないですが、どこにもない、うちの強みになる看板メニューを作って下さい」と聞こえる時です。
結局まとめると、最後は、外注先への信頼度がネックだったという像が浮かび上がってきます。自社の外注先への信頼度が「チームビルディング」に影響し、結局それが、「Web制作チームが必ずしも成功しない」原因となりやすいという実像です。
こんな事があるとすれば、自社のためには残念な事です。御社ではこの記事を参考にしていただけると幸いです。